先日の練習の録音を聴きながら、バスクラの音色と役割について考えてみた。
Webで同じような話題を探してみても、いろいろな意見があって面白い。
それだけに、バス・クラリネットという楽器の可能性が広いということをも示しているように思う。
そもそも、バスクラは、クラリネットの「バス」版なわけで、クラリネットの延長と考えるのがひとつの考え方。対して、現在の形を完成させたのがアドルフ・サックス(サックスやユーフォニウムの発明者)であることから、サックスに近いものと考える考え方もある。
私が思うに、サックスの仲間と考えるのは少々無理がある(音響構造上、サックスとは異種のもの)と思うが、かといってクラリネットの延長と単純に考えるのもどうかと思う。
音域による音色の違いなど、基本的な音色特徴としては似ている部分もあるが、クラリネットには出せない野蛮な音をも出す可能性を秘めている、別の楽器と考えたほうがしっくりくる。
けれど、それだけ可能性があるということは、ちゃんとシチュエーションを見極めないと、単に「空気の読めないヤツ」に成り下がる可能性をも秘めているということだ。
私はバスクラは季節奏者(通常は並クラで、必要なときだけバスクラ吹き)だが、いくつか演奏の中で感じたバスクラの役割について記述すると、ありきたりだが次のようになる。
輪郭としてのバスクラ
吹奏楽の中で、バスクラの役割は、低音の「核」とか、「輪郭」とか聞いたことがある。
よくあるのは、吹奏楽の中で、チューバやユーフォニウムなど、ボリュームはあるがぼやけてしまいがちな中低音に、輪郭を作る、核となるような音色が求められるということだ。
このときのお友達はバストロ、バリサクあたり。バリッとした固い音を求められているように思う。
しっかりとしたリードに強めの息を当てて音を出すようなイメージになる。
木管低音としてのバスクラ
かといって、それだけではない。
金管やサックスとバリバリ吹いた後に、突如として訪れる、木管との静かな部分。クラリネットの下で単身ベースを支えるという役割を与えられることも少なくない。
もちろんこんなときに、バリバリと地響きを立てるわけにはいかない。バスクラリネットの説明としてもよく記述されている「暖かく豊かな響き」を発揮する必要がある。
ある程度のコシはありながら、柔軟性を持ったリードが必要とされる。
クラアンサンブルのバスクラ
クラリネットアンサンブルの中のバスクラは、また多種多様な顔を要求される。ベースの刻み、和音の基音、そして並クラと同じレベルの動きまで。
機動性と魅力的な音色、そして数人の並クラにうずもれない存在感。吹奏楽などのように音量は求められない分、しっかりと響かせられる反応のよいリードが必要とされる。
ソロ楽器としてのバスクラ
同じ低音楽器のチューバやバストロ、バリサクなどに比べ、旋律をソロで吹く可能性は高いように思う。最近はバスクラソロのための曲も多い。
このときに作曲者に求められているのは、バスクラの独特な音色ではなかろうか。ずしっと響く低音か、あるいは少し鼻にかかったような甘い高音か、どこで聴かせるか、腕の見せ所である。
表現の幅を大きく持たせられる、柔軟性と音色の艶を持ったリードを使用する必要がある。また、フレーズの長さに耐えうる吹き易さも大きな要素となってくる。
ジャズ楽器としてのバスクラ
同じソロはソロでも、ジャズやフュージョンで使われる場合にはまた違った表現となる。基本的にマイクで拾う前提となるので、音量は求められない。(そもそもラッパですらマイクで拾う世界で、バスクラが太刀打ちできるはずがない。が、ちなみにあらゆるところから音が拡散されてしまうバスクラのマイクセッティングは非常に難しく、少なくとも2~3個のマイクをセットする必要がある。)
「パリッ」とした軽めの音色を使っているケースが多いように感じられ、おそらく薄めのリードで奏者の自由度を上げているものと思われる。(ちなみにマーカス・ミラーはプラスチック・リードらしい。)
役割ついでに、リードのセッティングについても記述してみたが、ここが私の今の一番の悩みどころなのだ。並クラに比べて、リードが音色に与える影響が非常に大きいように思う。そして、特に吹奏楽などではその場面場面で必要とされる音色が異なり、そのたびにリードを替えるわけにもいかない。マルチなリードを見つけたいが、なかなかよいものに出会えないのだ。大学時代の友人が、曲ごとにリードを変えていたらしいが、通常そんな余裕はないだろう。一枚で音色に幅を持たせられる吹き方やリード選びをもっと学ぶ必要がありそうだ。
とまぁ、現状で思ったことを書いてみましたが、また考えは変わるかもです(笑)
とても参考になりました
Thank you
no さん
コメントありがとうございます!
とても参考になりました!
ありがとうございます。
私は音色がよくきつくなってしまうので
これを参考に音色を見直してみようと思います。
タンギングを速くする方法について
教えてほしいです。
みれいさん
コメントありがとうございます。
音色がきつくなってしまうとのことですが、一度録音で確認されることをお勧めします。
意外と、硬めに出すようにしないと遠くで聞くとぼやけてしまったりしますので。
タンギングは、難しいですねぇ。
どうしても舌に意識が行ってしまいがちですが、息をしっかり入れることで、タンギングが早くできるようになったりします。
舌に力が入りすぎないように、イメージしてみてはいかがでしょうか。